◎ 離婚後の生活設計
女性において、子どもを連れた離婚後の生活については、離婚以前に定職を持っている方を除き、途方にくれる方もいらっしゃると思います。
離婚後の女性の収入については、年間の収入が200万円未満の方が大多数を占めています。
離婚後の生活設計を考えるうえで、次の3つのポイントがあります。 離婚後の生活設計は、離婚前から始まっています。
@ 経済的自立
就業による安定した収入の確保。 老後に受給する年金を考慮すると、社会保険に加入できる職業に
就くことが望ましいです。
A 離婚給付の確定
財産分与額、慰謝料、養育費などが該当します。
B 離婚後の公的援助の活用
就学援助、児童扶養手当、子供の医療費補助、奨学金などが該当します。
ご相談者の相談内容により、現状の問題点の把握及びその対策を、ライフイベントを加味した収支表(キャッシュフロー表)を作成し、ご提案いたします。
1.生活設計のご相談
将来に渡る家計の収支状況を事前に把握することにより、対策の選択肢は増えます。
@ 現在の可処分所得、家計支出見通し、財産分与、慰謝料、養育費、児童手当や児童扶養手当などの公的
支援等をもとに、ライフイベントを加味してお金に関わる収支表を作成します。
A 収支表を作成することにより、将来の家計の経済的余裕度あるいは逼迫度が明らかになります。
a) 将来、お子様の教育に掛かる費用の金額が明確になります。
b) 老後資金がどれくらい確保できそうか明確になります。
B 家計が逼迫することが予想される場合、問題点を洗い出し対策の立案と実行が必要となります。
2.収支表(キャッシュフロー表)
下記に収支表(キャッシュフロー表)の例を示します。
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0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
西暦 |
2008 |
2009 |
2010 |
2011 |
2012 |
2013 |
2014 |
2015 |
2016 |
平成 |
H20年 |
H21年 |
H22年 |
H23年 |
H24年 |
H25年 |
H26年 |
H27年 |
H28年 |
お母様の年齢 |
32 |
33 |
34 |
35 |
36 |
37 |
38 |
39 |
40 |
お子様の年齢 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
(学齢) |
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年少 |
年中 |
年長 |
小1 |
小2 |
小3 |
小4 |
小5 |
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収入の部 |
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可処分所得 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
養育費 |
36 |
36 |
36 |
36 |
36 |
36 |
36 |
36 |
36 |
児童手当 |
12 |
6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
児童扶養手当 |
24 |
24 |
24 |
24 |
24 |
24 |
24 |
24 |
24 |
雑所得 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
収入計 |
277 |
271 |
271 |
271 |
271 |
271 |
271 |
271 |
271 |
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支出の部 |
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基本生活費(1%) |
120 |
121 |
122 |
124 |
125 |
126 |
127 |
129 |
130 |
住居費 |
72 |
72 |
72 |
72 |
72 |
72 |
72 |
72 |
72 |
子供教育費 |
12 |
46 |
36 |
36 |
34 |
24 |
24 |
24 |
24 |
生命保険料 |
24 |
24 |
24 |
24 |
24 |
24 |
24 |
24 |
24 |
交際費 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
教養娯楽費 |
12 |
12 |
12 |
12 |
12 |
12 |
12 |
12 |
12 |
支出計 |
245 |
280 |
271 |
273 |
272 |
263 |
264 |
266 |
267 |
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年間収支 |
32 |
-9 |
0 |
-2 |
-1 |
8 |
7 |
5 |
4 |
年/貯蓄利息(1%) |
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3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
貯蓄残高 |
300 |
294 |
296 |
298 |
300 |
311 |
320 |
329 |
336 |
子どもを連れての離婚後の生活において、家計状態のシミュレーションを行うと、子どもが独立した後の収支バランスが悪くなるケースが多いようです。
特に、年金を受給する年代になると、更に厳しくなる可能性があります。 老後のことも考えたライフプランを設計し、実行を行い、自立したゆとりある老後を過ごすようにしたいものです。
当事務所では、ファイナンシャル・プランナーとして、離婚後の生活設計のご相談を承っています。 お気軽にご相談ください。
◎ 公的援助の活用
このページでは、子どもがいる場合の生活設計について、少しでもお役に立つように公的援助についてまとめて見ました。
1.子どもがいる場合の公的援助
子どもの成長に合わて利用できる制度を、下表にまとめました。
なお、市町村によって異なることがありますので、住所地の市町村窓口にお問合せください。
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児童手当 |
児童扶養手当 |
就学援助 |
授業料免除 |
奨学金 |
@乳幼児 |
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A幼稚園 |
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B小学校 |
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C中学校 |
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D道立高校 |
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E国立大学 |
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(1) 児童手当
中学校卒業まで、子供1人毎に児童手当が市町村より支給されます。 但し、所得制限があります。
@ 3歳未満 : 月額15,000円
A 3歳以上小学校卒業まで
第1子、第2子 : 月額10,000円
第3子以降 : 月額15,000円
B 中学生 : 月額10,000円
(2) 児童扶養手当
離婚などにより、父親と生計を同じくしていない児童を養育している母親または養育者に支給されます。 詳細については、各市町村の窓口に問い合わせ下さい。
高校卒業まで、月額支給額は次の通りです。
@ 第1子 : 42,910円(全部支給の場合)
A 第2子 : 10,140円(全部支給の場合)
B 第3子以降 : 6,080円(全部支給の場合)
(3) 就学援助
経済的理由で就学が困難な家庭の小学生、中学生を対象としています。 就学援助の申請は、学校経由で行います。 学用品や給食費などの援助を行ってくれます。 実施の有無および詳細については、各市町村の窓口に問い合わせ下さい。
(4) 授業料免除
国立大学において、所得に応じて、授業料の全額免除、あるいは半額免除を受けることができる場合があります。
(5) 奨学金
無利子貸与の第1種奨学金、有利子貸与の第2種奨学金があります。
第1種奨学金は、特に優れた学生および生徒で経済的理由により著しく修学困難な学生に貸与し、第2種奨学金は第1種奨学金よりゆるやかな基準によって選考された学生に貸与されます。
(6) 医療費補助
市町村の独自制度として、乳幼児を対象とした医療費の補助制度があります。
詳細については、各市町村の窓口に問い合わせ下さい。
2.社会保険
(1) 国民健康保険
国民健康保険は、所得に応じて、7割/5割/2割の減額制度があります。
詳細については、お近くの市町村窓口にお問合せください。
(2) 国民年金
国民年金は、所得に応じて、全額免除、4分の3免除、2分の1免除、4分の1免除の制度があります。 免除申請については、お近くの年金事務所にお問合せください。 将来の年金受給を考えると、滞納せずに免除申請することをお勧めします。
住所地により、公的支援内容が異なることがありますので、詳細については、各市町村の窓口で、ご確認ください。
当事務所では、離婚後の生活設計のご相談を承っています。 お気軽にご相談ください。
◎ 住宅ローンの処理方法
離婚時における住宅ローンの処理については、非常に大きな問題ですが、なかなかすんなりとは解決しません。
通常ですと、返済期間は30年とか35年が一般的になってきており、返済完了時の年齢が60歳を超えるものも多くなっています。
私は、ファイナンシャル・プランナーの資格を得るとき、住宅ローンの借り方については勉強しましたが、そのときには、離婚時における住宅ローンの処理方法については、想像もしたこともありませんでした。
行政書士になり、離婚相談を受けたときに、住宅ローンをどのように処理するかのご相談を受け、どのような処理方法があるか考えてみました。
住宅ローンの名義人が、夫であるケースを前提にいくつかのケースを考えてみました。
◎ ケース1 : 妻が引越し、夫はそのまま居住する場合
住宅ローンの名義人がそのまま居住するので、特に問題は考えられません。
所得税の住宅ローン控除も継続して受けることができます。
◎ ケース2 : 夫、妻とも引越しする場合
住宅ローンの残額を控除しても売却益が見込まれるときは、借入している金融機関と交渉して、金融機関が設定している抵当権を抹消したうえで、売却することが考えられます。
しかし、大多数の場合は、、売却したくても、数百万円〜数千万円の売却損が発生するため、なかなか借入している金融機関がOKを出してくれる可能性は低いと思われます。
次善の策として、住宅ローンの毎月返済額相当額の家賃を設定し、借家として貸し出すことが考えられます。
もし、住宅を売却でき、売却代金を住宅ローンの返済に充当しても、なお残高が残るような場合は、その損失を3年間、所得税から控除することができます。
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の制度があり、詳しくは、国税庁のHPを参照願います。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3390.htm
◎ ケース3 : 夫が引越し、妻はそのまま居住するする場合
住宅ローンの残額が少ない場合は、財産分与の分割払いとして、そのまま夫が住宅ローンを支払うことが考えられます。
住宅ローンの残額が多くても、妻の資力が十分であれば、住宅ローンの名義人変更を借入している金融機関が認めてくれる可能性はあると思われます。
住宅ローンの残額が多く、妻の資力も不十分のときは、住宅ローンの名義人変更を借入している金融機関は認めてくれる可能性は殆どないと思われます。
このような場合の対処方法については、妻に引越しをしてもらい、借家として貸し出す方法ぐらいしか考えが及びません。 妻が引越しを拒否する場合は、家賃相当額を受領して、住宅ローンの返済に充てる方法もありますが、妻の資力が充分でない場合は、解決方法について妙案は浮かびません。
また、妻の親と同居している2世帯住宅で、妻の親がそれなりの住宅取得資金を提供していた場合は、もっと話しが難しくなります。 この場合は、夫、妻、妻の親による3者での話し合いにより、解決の糸口を見出すほかありません。
住宅ローン残高の多少、住宅ローン名義人の資力、住宅を売却しようとしたときの立地条件/売却価格など、それぞれの状況によって対処方法も異なってくると思われます。
その他の対処方法としては、親に相応の資力がある場合、相続時精算課税制度を利用して、住宅ローンの残額を繰上返済して、金融機関の抵当権を抹消後、妻へ所有権を移転する、あるいは売却する方法も考えられます。
今一度、離婚届を提出する前に、ご夫婦で相談して善後策を決めたうえで、離婚されることをお勧めします。
ご相談は、こちらから |
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